税理士の仕事(6)医療のお客様、関与形態、特殊業務
当事務所は数人でワチャワチャ、大きい仕事はパートナー税理士とワチャワチャと、やっている。
医療のお客様がほとんどではあるが、他に個人のお客様もいるし、皆様それなりにバラエティに富んでいる。
1 当事務所の、お客様の種別
(1)医療法人や医療を行う法人
医療法人、医療をする一般社団法人は、当事務所で圧倒的トップシェア種別のお客様である。
(2)医療経営に密接な会社
いわゆるMS法人や、医療の美容部門などのお客様も結構いらっしゃる。
(3)スポーツ施設である法人
いまボクシングジム1件だが、実は医療と並んで、充実させたい部門である。
今後の秘かな目標でもある。
(4)相続や不動産売買など、突発事項が生じた個人
常にコンスタントに相続の相談、申告を行っている。
法人顧客のご家族の件から、飛び込みの個人さんまで様々だ。
(5)自営業者である個人、勤め人である個人
個人の確定申告は、流れでご依頼があった時は積極的にご一緒するようにしている。
それは報酬や事業としてではなく、この職業をやる限り、永遠に磨き続けるべき分野だからだ。
(6)自治体病院(地方公共団体)
開業して3年目あたりから、ちらほら自治体病院の仕事をするようになった。
勤務税理士時代の得意分野だったが、開業したらもうできない分野かな、と思っていた。
個人会計事務所で、地方公共団体と直接契約で病院業務をするのは楽しく、有難いことだ。
2 税理士業務の関与形態
種類別っぽくあげてみたが、その中でのお客様との関与の仕方、契約形態はもっと様々だ。
定価や価格表を付けている会計事務所もあるし、それはそれで明瞭で良いと思う。
当事務所には価格表はないが、税務申告書を作るほかに、次のような仕事の方法や動き方がある。
(1)毎月2回以上訪問、帳簿等の監査 + 報告、その他依頼を受けた調査など実施
(2)毎月1回訪問、帳簿等の監査 + 報告、その他依頼を受けた調査など実施
(3)年数回の帳簿監査または記帳作成、訪問 + 報告、その他依頼を受けた調査など実施
その頻度や内容はバラバラだが、お客様にお会いするときは、必ず報告書を持参する。
報告書は、会計ソフトからニューっと出てくるものでなく、Wordで手作りしている。
あと、役所での調べ事や株価・不動産査定など、依頼があるものは全部実施する。
よく「税理士の月次契約は、継続取引でイイよね」という人がいるが。
能力が高い大病院や、シビアな院長の月次顧問は、常にシビレっぱなしだ。
真剣にやっている限りは、これほど厳しく手間がかかる仕事はない。
対トップでは、面談や報告の一回一回が本番勝負。
相手も医療・経営のプロ、こちらに不足があるときの指摘は鋭いから、まったく気が抜けない。
また、大病院・グループ法人の顧問業務は キャストが多い。
僕は経理業務を中心に、できる限りあらゆるセクションの方々と仕事をする。
理事長、事務局(長)、経理部署、医療現場、場合によっては人事総務、医事課・・・
財務経理に留まらず、そのように動くのにはいくつか理由がある。
まず、財務を形成している人たちを知りたい、というのがある。
医事のことは医事課長に聞くのが一番だし、財務部では分からない契約のことは、総務に聞く。
人事で何かあるなら人事課、そこで分からないことは院長、看護部長・・・
財務というのは、そういう組織の集合体だから、組織の実態にも常に触れていたい。
それと副次的な理由として、組織の中を皆さんと動くことが、自ずと僕らのノウハウ蓄積になっていく。
同じ病院でもみんなやり方や組織形成が違い、中に入ると新しい発見ばかり。
そういうものが、次に行く医療機関で必ず役に立つのである。
ただ、他人様の組織の中を動く以上、「口が堅いこと」「人間関係への配慮」「自分との相性」など、気にすべきことは山ほどある。
口が滑ったら、相手の人間関係(理事長と総務課長が仲が悪い、みたいなもの)への配慮を欠いたら、あるいは最初からボクが嫌われたら。
何もかもが台無しになるかもしれないという、非常な緊張感で中に入っている。
ゴルゴ13でデューク東郷が「おれは1人の軍隊だ」と言っているが、一度その病院に入ると、まさにその気持ちで挑む気持ちになる。
ただ、さすがに本当の一人だと大組織を相手に長期戦はやれないし、ので、いくつかのお客様は、事務所の職員やパートナー税理士とのコンビネーションで、取り組んでいる。
僕は、税理士の月次業務で最大の魅力は、税務会計という重要業務を、一歩超えたところにあって。
お相手の規模に関わらず、自分も顧問先のチーム員の一人になった気持ちで、その組織の業務改善・業務円滑化に関われることだと思う。
そしてその動きが、「ボクはコンサルです」と言わずとも、常時コンサルテーションを提供する動きになっていると実感している。
3 そのほかの業務
まず、消費税の申告だけをお手伝いしている病院がある。
税務は他の税理士がいて、役員会議や、医局会議に出席するのがメインの病院もある。
スポット業務では、自治体間の負債に関する財務調整なども行う。
特に医療専門で仕事をしていて独特なのは、「出資持分の放棄」の業務だ。
相続税対策で実施する場合が大半だが、実は法人税を下げるためであったり、親族間争い回避のために実施する場合もある。
我ながら「何でも屋」だと思うが、医療機関という業種に限定しての「何でも」はなかなか楽しい。
最近は、全く違うタイプの税理士同士での連携も、少しずつできるようになってきたから、相談もお受けしやすい。
ということで、あまりまとまりがない文章だが、どんなお客さんがいるの?ということを書いてみた。
次回は、「税理士の税務」という、税理士の本丸について書いてみよう、かな。
岸野康之 拝(本日重量 85.8㎏(着衣)減らない・・ 2021年2月21日 89.3㎏(着衣))
税理士 岸野康之 事務所 BLOG
- 税理士 お客様との関係、呼び方など
(2024年7月25日) - 資金の海外送金 納税管理人
(2024年7月24日) - 閑話休題 ~ブログ、ほんの少しお休み~
(2021年6月1日) - 医療コンサル(11)医療と福祉 人的構造
(2021年5月27日) - 医療コンサル(10)医療と福祉の全体像
(2021年5月25日) - 医療コンサル(9)財務コンサル、スポット税務
(2021年5月23日) - 閑話休題 ~ベルセルク(漫画)③登場人物たちと人生~
(2021年5月22日) - 閑話休題 ~ベルセルク(漫画)②背景と思想~
(2021年5月21日) - 閑話休題 ~ベルセルク(漫画)①あらすじ~
(2021年5月20日) - 医療コンサル(8)マッピングと地域動線の分析
(2021年5月19日)