税理士 岸野康之 事務所

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閑話休題 ~ベルセルク(漫画)①あらすじ~

今日の午後、急な訃報が飛び込んできた。

「ベルセルク」作者 三浦建太郎氏が54歳の若さで、病気で亡くなられたという。

ベルセルクは1989年に連載開始して、40巻まで刊行されたいまなお、完結が見えない長大な物語。

触れ込みは「ダークファンタジー」ということになっていて、確かに魔法とか怪物とか出てくる。

しかし僕はファンタジーというより、たまたま架空世界を舞台に、人・生死・宗教、そして主人公の生き方を通して、人間世界と個人精神の内面に迫ったお話だと捉えている。

開業税理士になってしばらく、何もかも上手く行かない時期にこの漫画を読み始めて、この架空世界と架空の主人公に、不思議ととても癒されたものだ。

今日、明日は三浦先生へ追悼の意を込めて、このお話について書いてみたい。

1 あらすじ

すべて架空の世界観であるが、モチーフは、魔女狩りや疫病流行、そして国同士の戦乱や宗教戦争など、混乱が絶えない中世ヨーロッパである。

身寄りがない主人公『ガッツ』は幼少期から傭兵団の中で育ち、戦場で鍛えられ、大剣の使い手として腕をあげていく。

『ガッツ』は、やがて無敗の強さ、頭脳そして美貌を持つ、傭兵団の団長『グリフィス』と出会い、意気投合し、二人は一緒に名をあげ地位を上げていく。

しかし数年後、『ガッツ』は、真に『グリフィス』と対等の関係であり続けたいという願いから、兵団を離れて放浪の旅に出る。

無二のパートナー『ガッツ』を失った『グリフィス』は、あらゆる面で急速に精彩を欠きはじめ、ついに事件を起こして国王に捕えられ、拷問の末に廃人同様になってしまう。

自分が離れた間に『グリフィス』が捕えられ、兵団が半壊したことを知った『ガッツ』は彼を救出して、再び兵団に合流することとする。

一方でこの時期、人外の闇の者たちが、彼らが仕えるべき『グリフィス』のもとに集結しつつあった。

この闇の者たちは強靭な力を持つ怪物であるが、元々はみな人間で、欲望や憎しみが裏返った結果、呪力により魔物となった者たちである。

実は『グリフィス』は、この世の因果律によりその者たちの王となることが約束された闇の御子で、救出後すぐに「兵団の者、全員の命を生け贄」にして、闇の王として転生することになる。

『ガッツ』も生け贄の一人となったが、片目と片腕を失いながら、恋人の『キャスカ』とともに、かろうじて生き残ることとなった。

ただ『キャスカ』もまた闇の者たちに大いに傷付けられ、心身に大きな傷を残し、正気を失って幼児退行してしまう。

その後『ガッツ』は、傷付いた恋人『キャスカ』を連れながら、闇の者たちと戦いながら魔王として転生した『グリフィス』を探す旅に出ることになる。

『ガッツ』は、『キャスカ』を傷付け、兵団の仲間たちを喰い殺した闇の者たちを探し出し、刹那的に復讐を繰り返していく。

しかし、憎しみに囚われ人の心を失いかけていた『ガッツ』は、長い旅の中で新しい仲間たちに出会い、共闘する中で人らしい感情を取り戻してくる。

そして、精神が傷付いた『キャスカ』を恢復させることができる人物に会うために、一行は新たな船旅に出ることとなる。

『ガッツ』はその旅の中で、仲間と出会い、新しい力を身につけ、闇の者たちと対等に渡り合う力を身につけていった。

そしてついに、『キャスカ』を恢復できる人物と出会い、彼女の正気を取り戻すことに成功したのである。

一方、そんな『ガッツ』の旅と無関係に、『グリフィス』の転生以来、世界の亀裂が大きくなっていき、世界の至るところに「魔界」が現出していく。

その中で、闇の王として転生した『グリフィス』は、絶大な呪力・魔力によって、人間と闇の者たちが共存する巨大帝国の建立を進める。

そして、魔界があふれ出た世界で、『グリフィス』が建立した巨大帝国一国のみが、闇の者たちとの共存を条件に、人が快適に生きれる唯一の場所となった。

もともと人間であった頃から、王として城を統べることを夢見ていた『グリフィス』は、図らずも魔王として、人間と闇の者たちを等しく統治することになったのである。

ここで40巻、この物語は止まっている。

この後、世界の王となった『グリフィス』と仲間と力を得た『ガッツ』とが邂逅して、そこから長い戦いや対話が展開されていく、はずだった。。。

表面のあらすじからは、確かに冒頭記したように「ダークファンタジー」という、あるジャンルの漫画の一つに過ぎないように見える。

しかし、物語は極めて深い歴史観、死生観そして人間観によって構成されており、あらゆる年齢層の大人たちの心を捉えて離さない

次回は、その内容について触れていこうと思う。

岸野康之 拝


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