税理士 岸野康之 事務所

医療機関専門
財務、経営、相続 アドバイザリー

税務調査(6)公的団体への調査①

あっという間にGWが終了、また日常が戻って来た。

僕はGW5日間のうち4日間は仕事をしていたが、普段よりマッタリめな動作になるせいか、思うほどは仕事が進まない。

それでも休みの日の仕事には、日頃出てこない視点や発想、そしてなぜか甘美な喜びがある・・・なぜだろう。

1 法人税の非課税団体

ところで僕は「医療機関専門」であって、「医療法人専門」ではない。

医療法人専門というと、まさに医療法人に限定されるが、僕は医療法人以外の医療機関もご一緒する。

社会福祉法人、自治体病院、公益社団法人、学校法人等の病院、その他・・・

ところで医療法人や一般社団法人は、若干の点を除き、株式会社等と同じく「普通法人=法人税が課税される団体」だ。

それに対して、それ以外の医療機関はほとんど「(本来業務の)法人税が非課税の団体」である。

そして、法人税が非課税の団体にも、消費税や源泉所得税は普通に納税義務があるので、税務調査はやってくる

2 公的団体への税務調査

公的医療機関への税務調査には、僕はしばしば、立ち会っている。

顧問をしているところでも、スポットでご依頼をいただいた病院でも、だ。

調査全体における公的医療機関の割合が、どの程度なのかは分からないが、密かにそこそこの件数があると思う。

10年前に公立病院の医師たちと話題になったのは、関東圏の公立病院に(たぶん)一斉に税務調査が入った、という話だ。

その一連の調査では、医師の日当直における「宿直手当」で税法の定めに合わないものが、全部否認されたらしい。

僕の印象では、公的団体の皆さんは、どうしても無防備になりがちである

皆さん、脱法意識など全くなく、むしろ税務署に問い合わせたりテキストを熟読したり、よく研究されているのだが。

なにぶん、実際に税務調査も来ないし、顧問税理士を付けていないところもあり、実務的な留意点は全然ご存じない場合も多い。

3 調査時の争点の違い

普通法人の調査論点は無数にあるし、その一つ一つに、結構解釈や見解の「幅」がある。

よく新聞等で「見解の相違がある『ので争う』『けど修正に応じる』」などと、報じられているのを見かける、アレである。

ところで公的団体の調査論点は、そこまで多くない上に、とても是非がハッキリしているものが多い

それだけに追徴となると大きいから、油断している担当税理士や事務局には危ないし、国から見れば美味しいごちそうだ。

僕はいつも、普通の医療法人等に税務調査が入るたびに思い、ときどき調査官に申し上げるのだが。

何となく普通法人に調査で臨場して、微妙な計上時期のずれや、交際費などの小さなアラ探しに拘泥するよりも。

医療機関に限らず、世の中の公共・公的団体に「源泉所得税・消費税の調査」を展開すれば、何十倍も追徴案件が出てくると思う。

次回は、公的団体への調査では、どのようなことが取り扱われるのかを見てみよう。

岸野康之 拝


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