税理士 岸野康之 事務所

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医師と税金(4)所得控除シリーズ ①雑損控除

アメリカ在住で、帰国された際に税金のご相談をいただく医師がいる。

医療系の研究者で、政府界隈の情勢にも非常にお詳しい。

今朝、その方から来たメールに「米国は、いま政府が偽物の政権で成り立つ、異常な状況が続いている」と、記されていた。

確かに、ネット情報で新政権に関する記事を拾っていると、単純に脱トランプを喜ぶ状況にはなさそうだが、実際はどうなのか。

我が国では、好意的報道しか(表面のマスメディアでは)出てこない、バイデン政権。

米国内における本質的な動静、今後のアジア地域への影響が、とても気になるところである。

さて、今日から15種類の「所得控除」を書いていきたい。

なお、書いていくのは「所得税」の話だが、所得控除をするとほとんどの場合「住民税」も少なくなる。

複雑になるのでその説明は省略するが、実際の節税効果はより大きい、と思いながら、お読みいただきたい。

勤務医は基本的にはサラリーマンだから、それほど多様な節税手段があるわけではない。

それでも医師は年収が高い=税率が高いから、例えば所得控除額が10万円増えれば、税金が2~4万円以上、減ることになる。

ぜひコツコツ試みていただきたい。

1 雑損控除

(1)概要

災害などで資産に損失を受けた個人が、その損失額を申告して受ける所得控除である。

地震大国の我が国ではこれを使う方は多いが、日常で適用を受けるには、厳格なハードルがあることを、アタマの隅に置いて見ていこう。

(2)災害などの種類

その「災害など」とは何か、を、国は次のように言っている。

  • ① 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
  • ② 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
  • ③ 害虫などの生物による異常な災害
  • ④ 盗難、横領(詐欺や恐喝を除く)

①~③などは分かりやすいが、④「盗難、横領」は【詐欺や恐喝】が除かれている。

一部の判例を取り上げてみると。

まず「アスベスト除去費用」は、人体を害しても資産損失でないから対象にならない。

それから「振り込め詐欺による損失」は、自分の意思で振り込んだからダメとのこと。

あと「横領された」という訴えに、裁判所は「それは横領でなく詐欺行為だから」ダメ、と。

刑法上の盗難、横領の概念を、厳格に適用するようだ。

コロナなど「ウィルスは生物だ」と主張しても、そのウィルスが資産に直接損失を与えるわけではないから、対象にはならない。

と、なかなか厳しい。

(3)対象となる資産と損失の種類

まず、事業用の資産は対象とならない。

それから、別荘、30万円超の貴金属ほか「生活に通常必要ではない資産」は対象外。

生活に必要最低限なものだけにしてくれ、ということだ。

で、その上で住宅や家財などの損失の金額、原状回復費用の金額、などが雑損控除の金額になるが、ただし。

① ちょっと込み入った計算式や、判定方法がある。

② 保険金などで補填された金額分は、対象にならない。

ここまで見てきて、損失を受けた「資産の種類と金額」についても、最低限の場合に限られている。

というわけで、ハッキリいって、日常「おっ、イケるかも」といって使える制度ではない。

以前、ある会社から「雑損控除の説明を営業の切り口にしたい」という企画をご相談されたが、それは申し訳ないけどお断りした。

積極的に運用する制度として、雑損控除を伝えるのは難しい。

しかし、だ。

令和元年度の確定申告では、4万2千人が1300億円の雑損控除を、申告したそうだ。

秋の大豪雨や熊本地震などはもちろん、小さな災害や事故はたくさん起きており、多くの人が様々な事情で申告している。

正直なところ、雑損控除の確定申告を自力で作成して申告するのは、困難だ。

だから、もし「おやっ?もしかして」と思ったら。

適用の可能性は定かでなくても、まず近くの税務署や身近な税理士にご相談することをお勧めしたい。

しょっぱなが、ちょっとマニアックな税制になってしまったが。

次回以降も、所得控除について、お話を続けていこうと思う。

【僕の説明はザクザクのため、詳しく知りたい人のための国税庁の 雑損控除URL】

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1110.htm

岸野康之 拝(本日重量 86.7㎏(着衣)  2021年2月21日 89.3㎏(着衣))


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