病院等の機能(1)コロナ禍における役割と機能
いよいよ緊急事態宣言が明けたと思ったら、早速、東京の上野あたりではお花見がすごいらしい。
理論上は、シャットダウン、ロックダウン、一斉時短などすれば、どんな事態も沈静化するだろう。
でも再び一斉に開放したら、どんな事態も、一斉に再燃するだろう。
これだけ文明や情報が発達しているのだから、「少しずつ」ということはできないものだろうか。
「密を少しずつ薄める」という、知恵やテクノロジーはないものだろうか。
コロナという大けがの功名で、国民全員が取り入れることとなった生活様式は、悪い部分だけでなかった。
僕自身は、緊急事態等が明けても「やや、新しい生活様式」で、身の回りの密を少しずつ薄めようと思う。
さて、コロナ禍における病院の役割が、医療記事で話題になっていた。
以下、記事を抜粋しつつ、内容を一緒に読んでみよう。
「・・・病院協会の・・・会長(〇〇市立病院特命総長)は公立病院の立場から講演し、新型コロナウイルス感染症の流行で地域医療構想における公立・公的病院の「不要論が一変した」と述べ、有事に備えて「地域医療構想の練り直しが必要」との考えを示した。」
そう、かねてより非効率な公立病院等(市町村立、日赤その他)について、不要論的な議論が出ていた。
このうち公立病院については、元々高コスト体質が問題視されていたところ、2年近く前に、厚生労働省が、全国の424件の病院を名指しで「再編統合の議論をすべきでは」との見解を出したのだ。
ところが、このコロナ禍で大変活躍したのは公立・公的病院等であり、その役割が見直された、という論調だ。
「・・・会長は、新型コロナ関連で入院病床が逼迫している理由に、「ひとえに医療資源や機能が分散している」ことを挙げた。国内の病院約8300施設のうち、200床未満の小規模病院が約7割を占めているとし、「こうした病院では人や設備が少なく、有事には機能し得ない」と主張した。
今後は、医療資源や機能の集約が必要とし、病院の大規模化は現実的に難しいことから「小規模病院は役割分担を明確に決めて、(対応を)はっきりする必要がある」と強調。今後は公立・公的病院だけでなく民間病院でも医療資源や機能の集約が求められるとの見方を示した。」
さて、この・・・会長は大きい市立病院の方で、今回はさぞかし苦労されたものと思う。
しかし、この論調を拝読して「それはそうなのだが、市立病院側の目線から見たお話かな」と思い、もう少し様々な言葉の必要性を感じた。
まず、約7割の200床未満の小規模病院の「役割分担を明確に」するにしても、この小規模病院の大半は民間病院だ。
ところでコロナ対応をはじめ、有事の対応を行う病院は、人件費から設備費から、とにかくお金がかかる。
小規模な民間病院に、「あなたのところは優秀だからコロナ対応ね」などと役割分担したら、その病院は、あっという間に資金ショートを起こすかもしれない。
そこを踏まえると、僕は、この議論の前提として、第1類~第2類、指定感染症等の患者を受け入れる診療については、手厚すぎるほどの診療体制補助金等を用意するのが、第一だと思う。
今回は後付けでコロナの診療報酬体系が、どんどん拡充されていったので、経営収支の議論は沈静化してきた様子だ。
しかし、そんな中で院内クラスターなど不測の事態が発生して、診療が滞れば、その拡充された診療報酬も入らなくなる。
そこの経営リスクも、国等で面倒を見るくらいのケアがあって、初めて「官民をひっくるめた」役割の議論が可能になる。
それがしっかり議論されるまでは、難しい感染症等の対応は、国公立や高度な公的病院に委ねざる得ないのであろう。
国公立・公的病院には当たり前の非課税や財政措置は、民間医療機関には、ほぼ存在しない。
さて、次回はこれに関連して、小規模病院の「救急体制」と救急告示病院の機能を確認したいと思う。
岸野康之 拝(本日重量 86.5㎏(着衣) 2021年2月21日 89.3㎏(着衣))
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