税理士 岸野康之 事務所

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税務調査(1)僕の概説

僕の税務調査に関する姿勢は、戦うのが良いとか、国寄りの姿勢とか、そんなポリシー的な決め事はない。

いわゆる「お土産」を持たすこともないし、税務調査が強い、というように自分の強さをPRするつもりもない。

法人税でも相続税でも、僕が関与してきたお客さんに調査が入った場合には、僕が一緒に作ってきた会計処理・取引(申告)の結果を見せるわけなので、基本的に何か言われて譲るようなものはない。

それでも、調査の現場で何か出てきたときは、納税者とともにその内容を検証して、最適な答えを出すようにしている。

納得しない自発的な修正に応じることはしない、とか、さらに色々述べたいこともあるが。

今は、前置きはこのくらいにしておこう。

さて、僕は身内に税理士もいないし、サラリーマン出身だから税務署のこともよく知らないし。

35歳近くで勤務税理士登録した、平均年齢62歳の業界ではペーペー税理士なのだが。

そんな僕でも、税理士の仕事の醍醐味は、税務調査の立ち会いにあると思う。

同時に、大変緊張する時間帯でもあるが、税務調査はいろいろな意味で面白い。

そのように様々な思いを持つ理由は、次のとおり。

(1)税務調査の確実な対応を望む納税者(お客さん)が多い。

まず納税者である皆さん、多くは税務調査には来てほしくないし、あるいは来てしまったら穏便に追徴納税なく、帰って欲しい。

一方で、お客さんは皆さんマジメなので、税務署が容認し、かつ自分が納得できる正しい申告をしたい、と要望される方も多い。

とにかく、税務署の介入の未然防止を望む、また税務調査が来るならそれを適切に対処する、そういう税理士を求める納税者の支持は多いのである。

そして、そんな期待を感じるから日頃から注意深く会計処理や説明をするし、調査が来ると思うと楽しさから不安まで、いろいろな気持ちになる。

(2)自分の法解釈や実務の捉え方を、(正しいと)再確認する機会となる。

僕としては、グレーゾーンが多い税務という法律仕事について、税務調査の機会に一定のラインを確認したい、という気持ちがある。

教科書にも判例にも出ていない事項を、国の役人がどう述べるか見てみたいというのは、実務家として自然な気持ちである。

だから、自分が全力でやった会計処理が争点になるときは、むしろエビデンスをしっかり出して、良い点も悪い点も全部聞く。

そういう局面で、変に否認などされたことがないし、調査官のレベルに応じてではあるが、聞いておくと後学のためになるラインを知ることができる。

無論、そうして出されたラインが、税務屋として承服できないものについては、採用することはない。

(3)様々な税務論点、今後の継続処理に関する意見を聴取する

僕はよく、調査に臨場した調査官たちと様々な意見交換をする。

日頃から納税者である法人が、会計実務で困っている論点や、僕自身の実務課題などについて、だ。

調査期間内でバチバチ論点が出尽くした後では、残り時間でちっこい駆け引きなどせずに、お客さんを交えて調査官と「あの場合はこの場合は」、と意見交換していることが多い。

特に法人の規模が大きい場合、ただ目先の税金がどうなる、というだけの話ではない。

税務に気を付けながら、法人内のルールや規定の整備、経理職員への浸透が必要になってくる

お客さんにとっては、僕が最後まで「オラァ」とか吠えて戦うより、今後の法人のルール整備に資する意見を得ることのほうが、よほど有益な場合がある。

よく「調査官と余計なことを話すな」という説があるが、そう思う人は、余計なことはしないほうが良い。

それに、調査官も色々いるから、納税者と向き合うのが難しいタイプの調査官とは、いくら対話をしても仕方がないのも事実だ。

とにかく、別に調査官を持ち上げるわけではないが、国の役人が「これはいいぜ」「これはイヤだぜ」と口で述べる意見を色々聞くのは、思考の整理材料としても有益だと思う。

僕は我ながら、自分の税務調査対応は、結構イケてると思っている ドヤァ。

ただ世の中には、国税出身者で固めた税理士事務所や、税務調査に強いことをウリにしてる事務所がある。

そういう自分より腕や経験に優れた税理士の長所は、今後も吸収し続けながら、常に最適対応を模索していきたいと思う。

次回は、いったん休憩を挟みながら、僕が味わった税務調査現場の話をしてみたい。

岸野康之 拝(本日重量 86.2Kg  2021年2月21日 89.3㎏(着衣))


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