税理士 岸野康之 事務所

医療機関専門
財務、経営、相続 アドバイザリー

税理士の仕事(10)月次監査

税理士にも、本当にいろいろなタイプ、守備範囲の人がいる。

8万人の中で、どの種類の人がどのくらいいるのか、正確なところは分からないが。

多くの税理士、会計事務所とその職員が、法人クライアントの「月次監査」をしているのは確かである。

僕の月次監査のスタイルは、前職のある時期以降、だいたい次のように確立している。

(1)自分の事務所か、先方の経理部署で、1ヶ月分の伝票ほか多くの資料を精査する。

(2)当方で記帳する事案の場合は、1ヶ月分を記帳する。

(3)1ヶ月間の医療界の動向、他の病院や地域の様子、税務ネタをまとめる。

(4)それらの内容を報告書にして、訪問時に理事長、事務局長などに報告する。

そのほか、僕は医療専門なので、次のような宿題や話題も常に抱えている。

① 行政に提出する届出、定款変更や新規開業の相談

② 新築、新車両の取得など設備投資、土地の売買、職員の処遇、法律問題の悩み・・・

③ 家族間の関係、相続対策、近隣自治体との付き合いの問題

税金の計算をするとか、会計処理の誤りの有無を確かめて、それを報告するのは当然の仕事である。

ただ、それ以外にとにかく皆さん、あらゆるご相談をお持ちになる

これが税務や医療行政、人間関係に関するものであれば、僕の事務所で全面的に対処を試みる。

しかし、込み入った不動産問題、法律問題その他であれば、即座に顧問弁護士やパートナーの不動産屋さん、他の税理士などと連携する

ということで、毎月通ったり報告をする中で、業務や話題が尽きることはない。

また、特殊ミッションがある時期は、決算や税務調査はなくても、月に何度でも通うこともある。

この月次監査のスタイルや主目的は、会計事務所によって大いに異なる。

正確な会計処理と税務上の問題抽出を目指すという点は、どの会計事務所も似たり寄ったりだと思う。

ただ、税務会計の誤りや懸念だけ伝えて帰っていく会計事務所は結構多くて、それだけだとお客さんも担当者もラクかもしれないが、あまり面白くないと思う。

例えば、経理課の段階で課題が山積しているお客さんのところでは、先方と一緒に、それらを除去、改善していく

足元の経理が今一つな団体だと、こちらは帳簿屋パワーをフルに発揮して挑むことになり、それはそれで結構楽しい。

少しずつ良くなっていくプロセスに携わる、というのは、エネルギーが要ることだが、月次監査の一つの喜びだろう。

一方、規模が大きく経理能力が高い団体の経理課と、何度もやり取りしていると、とりあえず、あまり問題は無くなってくる。

こういうお客さんのところでは、むしろ会計事務所や税理士のあり方が、深く問われると思う。

経理課にも当方にも余力があるのなら、次は「団体の成長」「組織改善」「事業承継の準備」に、一緒に取り組んでいける

実際に、僕は昔から経理能力が高い関与先では、理事長や事務局長と、法人内の課題をディスカッションしている時間が非常に多い。

この段階に入ると、税理士業務というより、コンサルテーションとしての関与になる。

非常なエネルギーとノウハウを要するが、この形での関与できるお客さんが、少しでも多くなるようにしていきたい。

そのためには、足元の税務会計の月次監査は、確実にこなすべきであるし、事務所自体の成長も不可欠である。

・・・月次監査というネタ自体、書いていてブログの話題としては地味だと感じた。

次回は、税務調査について書いてみようかな。

岸野康之 拝(本日重量 86.4Kg  2021年2月21日 89.3㎏(着衣))


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