税理士 岸野康之 事務所

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税務調査(3)そもそも税務調査って

そういえば、そもそも税務調査とは、ということを何も書いていなかった。

いまはネットで検索すれば、そういう情報はいくらでも出ているから・・・と思ったが。

少しだけ、継続的にブログを読んでくださる方がいるので、税務調査の概論を(できるだけ自分の言葉で)書いてみる。

1 税務調査とは

税務調査とは、法人や個人の住所地ほか一定の場所に、国税専門官等の国の調査官が臨場して、適正な税務申告が実施されているか調査に来るものである。

よく映画やドラマで「マルサ」がドカーン、オラァ と調査に来るが、アレはいわゆる税務調査ではない

マルサとかは、脱税してるだろ、という悪い輩として目を付けた納税者のところに税金を徴収しに来る。

税務調査は、一定規模以上の団体や申告書等の内容に少し「?」がある法人、個人などのところにやってくる。

あと、相続税などは一定以上の相続財産があるところに、おおむね申告後1年くらいでやってくる。

「さて、何から見ましょうか」とはじまり、いろいろ確認して、結局「よくできてますね」と帰っていく調査もある(是認調査)。

また、最初からある種の疑義を持っており、その裏付けのための聞き込みや資料徴取のために来る場合もある。

そういうときは、僕ら税理士がドヒャーと驚くネタが出る場合もあるし、ときには納税者がドヒャーと驚く(知らなかった)ネタが出る場合もある。

ともかく、そんな感じで、税務調査というのは結構日常的に、あちこちで行われている行事である。

2 税務署(国)の権限と納税者の関係

徴税権というのは、国家成立以来の歴史上、国が行使する普遍的にして強力な権限である。

徴税は必ずしも通貨の徴収だけでなく、役務(労務)や物(ブツ)、場合によっては人身そのものも徴収対象になりうる。

似た権限に「徴兵権」があり、旧来、徴税と徴兵は国が国民に対して行使し得る二大権限であったようだ

今もその点については、基本的に変わっていないが、近代日本においては「租税法律主義」と呼ばれる基礎規範がある

これは、税金は法律で決められた手続に沿って、決められた量だけしか取っちゃいけないぜ、という考え方である。

だから、いくら調査官が オラァもっと出せぇ とムチを振って叫んでも、法律で定められた量しか租税を納める必要はない

そしてその租税の法律の中には、税務調査の「申し入れ方」「調査できること」「質問検査権」など、様々な定めもある。

さらに、平成25年からは法律が大きく変わり、多くの面で納税者が守られる形で、調査全般を取り巻く環境が、一層クリアになった。

昔は、闇夜のうちに調査して、日の出とともに店舗を取り囲み、社員の出勤とともに社長室に攻め込むような調査もあったらしい。

しかし今日の税務調査というのは、租税法律主義にしっかり守られた、非常に紳士的な調査であると思う。

さて、その紳士的な調査という情勢を実現させている要素の一つに、税理士という職業的な税務代理人の存在がある。

明日は、「税理士と税務調査」的な話を、してみたいと思う。

岸野康之 拝


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