税理士 岸野康之 事務所

医療機関専門
財務、経営、相続 アドバイザリー

医療コンサル(3)コンサル業務に気を付ける

今日は、前回紹介した4つのコンサル類型について、ユーザーの立場から気を付けたいことを書いてみたい。

1 結果型コンサル

結果型コンサルにも、いろいろな種類がある。

業績改善のコンサルで、「業績をよくする方法を教える」のか。

コンサルタントが自ら「業績を上げるべく辣腕を振るう」のか。

人材育成なら、人材をあるレベルに持っていくことを確約するのか。

人材育成のための研修会を、何度か開くくらいなのか。

医療機関開設の仕事であれば、淡々と確実に手続すれば、普通に開設できるものと。

全てのノウハウと物量を駆使して、なお成功率50%以下、というものもある。

これからコンサル導入を検討する団体は、同じ結果型でも、「どこにフォーカスするか」を明らかにした方がいい

蛇足だが、僕は前職場、前々職場でヒヤヒヤするタイプの、結果重視の仕事をたくさんさせてもらった。

勤め人時代のその経験は、独立事業者として自分の責任で仕事をする上で、本当に役立っている。

これからも引き続き、常に結果にフォーカスした業務を、有していたい。

2 併走型コンサル

併走型コンサルというと、税理士や保険パーソンなど、併走できる人たちが、意外に併走していない

でも、併走できるのにしない人たちの、気持ちもわかる。

① 併走するには、あまりにもフィーが安い。

② 併走すると、アレコレ範囲外のことを山ほど聞かれて、思わぬ責任を背負いこむ。

③ 併走し続けると、自分の弱点が見えてしまう。

僕は上記②③は克服し、大概の件は「楽しめる」ので、①をクリアすれば業務に入れる。

しかし、慣れても楽しめても、クライアントと真に併走するということはエネルギーを要することだし、ときに大変な苦しみを味わう。

よく「お客様に寄り添う」という言葉があるが、本気で寄り添っている人は、この苦しみも味わっているはずだ。

実はクライアントに併走し続けるコンサルというのが、最も求められており、そして最もタフな業務であると思う。

3 成果品型コンサル

コンサルの成果品の中身は、高度で実務的なものから、ネットコピペで作成した何の役にも立たないものまで、ピンキリである。

有名なコンサル会社が、新入社員に紙クズのようなレポートを作らせて(見た目だけ立派)、堂々と提出している例は枚挙にいとまがない。

また、世界的な大手コンサル社は、内容は高度だが、「一応説明したので、あとはよく読んでください」となり、委託した側に読んで理解できる人がいないという悲劇もある。

そして、大手コンサルから専業コンサルまで、様々な団体が膨大なレポートを提出、機械的に内容を説明し、最期に数千万円の請求書を残していくのである

そうした成果品の残骸を、あちこちの病院で見てきた。

成果品型は、例えば病院の新築計画や人事フローの作成などを、技術的経験やノウハウにより形成されるものを委託するものは、有効である場合が多い。

しかし、経営改善のように結果が読みにくい事案になると、コンサルは「これをやれば良くなりますよ」というレポート作成に注力して去って行きがちだ。

そういう成果品にも、例えば発注者の自治体が、市長や議会に「コンサルにやらせてます」と言う証拠作りなど、役立つ場面もあるにはあるが。

とにかく日本はハコモノ文化があるせいか、コンサルに成果品という「ハコ」を求めがちだが、それが真に目的達成に繋がるかどうか、よく検討していただきたい。

4 紹介型コンサル

いま、医師や看護師の紹介会社は〇兆円産業とも言われているらしく、これらを紹介型コンサルという場合もある。

ただ、そのように紹介を真の「業」とするならともかく、本業と別に口利き程度で紹介フィーを取る者は、「ただのブローカー」である可能性がある。

利用する側も、人や会社を紹介してフィーを得るコンサルが現れたら、その素性、背景をよく確かめることだ。

有料による紹介は、有料だから良いものとは限らず、おカネのためにヒドイ商品を充ててくる可能性がある

最期に一点。

コンサルで失敗している団体は、コンサル慣れしていないから、たまに会ったコンサルに飲まれてしまう。

「この人たちは、他のコンサルを知らない」

と思われたら、足元を見られて、訳の分からぬ分析レポートや研修会を売られてしまうかもしれない。

しょせんコンサル費用など、例えば一社A00万円のコンサルを三社使ってもB00万円、間違って採用した職員一人の人件費程度だ。

日頃から、様々なタイプのコンサルを、試しで使い、付き合って、情報を得て、膨大な対話を重ねてみて。

良いコンサルタントと付き合うようにし、またいざというときに、失敗しないようにしていただきたい。

岸野康之 拝


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